腰の痛み
こんな症状はありませんか?
  • 慢性的に腰が痛い
  • 朝、起き上がるときに腰が痛い
  • 重いものを持ったら急に腰が痛くなった
  • ぎっくり腰になった
  • 長く歩くと腰や脚が痛くなる
  • お尻から脚にかけてしびれる
  • 運動をしていて急に、もしくは徐々に腰が痛くなった
腰の痛み

変形性腰椎症

変形性腰椎症は、腰椎が加齢や過度の負荷によって変形し、腰の痛みや動きの制限を引き起こす疾患です。腰椎の椎間板や椎体に生じる変化が原因で、関節や靭帯が硬化したり、骨の周囲に骨棘ができることがよくあります。

症状

変形性腰椎症の症状は、軽度から重度までさまざまですが、以下のようなものが一般的です。
  • 腰の痛み:特に長時間の座位や立位で腰が痛むことが多く、朝起きた時や夕方に痛みが強くなることがあります。
  • こわばり感:腰が硬く感じ、動かす際にスムーズに動かない感じがあります。
  • 運動制限:腰を曲げたり、伸ばしたりする際に制限がかかり、動きが悪くなります。
  • 下肢へのしびれや痛み:腰椎が変形することで神経が圧迫されると、脚にしびれや痛みが放散することがあります。
  • 腰のこりや疲労感:腰に常にこりや疲労感を感じることがあります。

原因

変形性腰椎症の主な原因は、腰椎に加わる長期にわたる負荷と加齢に伴う変性です。
  • 加齢:長時間のデスクワークやスマホ使用などで、首や肩に負担がかかる姿勢が続きます。
  • 過度の負荷:長期間にわたる重労働や、姿勢の悪さによる腰への負担が、腰椎の変形を促進します。
  • 肥満:体重の増加により、腰にかかる負担が増えるため、腰椎の変性が早まることがあります。

治療法

保存療法

  • 安静:痛みが強い時には、安静にして腰への負担を減らします。
  • 薬物治療:痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬を処方します。
  • 注射療法:痛みが強い場合や神経圧迫がある場合には、筋肉のコリや炎症を抑えるトリガーポイント注射や神経ブロック注射を行います。
  • 理学療法:腰を支える筋肉を強化する運動や、腰のストレッチを行います。姿勢の改善も重要です。
  • コルセットの使用:腰の安定性を高め、痛みを軽減するために腰部をサポートするコルセットを使用します。

手術療法

保存療法で効果が見られず、神経圧迫が重度で日常生活に支障が出る場合は、手術が検討されます。

急性腰痛症(ぎっくり腰)

急性腰痛症は、突然発症する激しい腰の痛みを特徴とする症状で、俗に「ぎっくり腰」とも呼ばれます。原因はさまざまで、重い物を持ち上げた際や、急な体の動き、無理な姿勢をとった際に、腰部に急激な負荷がかかることによって引き起こされることが多いです。

症状

  • 突然の強い痛み:特に何かの動作や負荷がきっかけで、腰部に激しい痛みが走ります。
  • 腰を動かせなくなる:痛みのために体を動かせなくなったり、動作が制限されることがあります。
  • 筋肉のこわばり:腰部の筋肉が緊張し、こわばり感や張りを感じることがあります。
  • 痛みの局所性:痛みが腰部に集中し、特に片側の腰に痛みが強く現れることが多いです。

原因

  • 筋肉や靭帯の損傷:腰の筋肉や靭帯に過度の負担がかかり、損傷や炎症が生じることで痛みが発生します。
  • 椎間関節の異常:腰椎をつなぐ関節に急激な負荷がかかり、関節が炎症を起こすことがあります。
  • その他の要因:過度な疲労やストレス、不適切な姿勢や動作が積み重なることで腰に負担がかかり、急性の痛みを引き起こすことがあります。

治療法

保存療法

  • 安静:痛みが強い時には、安静にして腰への負担を減らします。
  • 薬物治療:痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬を処方します。
  • 注射療法:痛みが強い場合は筋肉のコリや炎症を抑えるトリガーポイント注射を行います。
  • 理学療法:筋肉の炎症を抑えるために電気治療などの物理療法を行います。症状が改善してきたらリハビリとして腰部の筋肉を強化するエクササイズやストレッチを行います。
  • コルセットの使用:腰の安定性を高め、痛みを軽減するために腰部をサポートするコルセットを使用します。

圧迫骨折

圧迫骨折とは、椎体(背骨の骨)が圧力を受けてつぶれるように骨折する状態を指します。主に高齢者や骨粗しょう症の人に多く見られ、転倒や重い物を持ち上げるなどの軽い負荷でも骨折しますが、特に誘引なく骨折することもあるため「いつのまにか骨折」とも言われます。また、事故や転倒などの外傷が原因で若年層にも発生することがあります。

症状

  • 突然の強い腰痛:骨折が起こった際に、激しい腰痛が生じます。特に動作時や立ち上がるとき、座るときに痛みが増します。
  • 姿勢の変化:骨折が進行すると、背中が丸くなったり(円背)、身長が縮みます。
  • 動作の制限:痛みのために、前かがみの姿勢や重い物を持ち上げる動作が難しくなります。
  • 慢性痛:急性期を過ぎても、骨折が治癒する過程で長期間痛みが続くことがあります。

原因

  • 骨粗しょう症:骨密度が低下して骨がもろくなる骨粗しょう症は、圧迫骨折の主要な原因です。わずかな力や日常の動作でも骨が圧迫されて骨折することがあります。特に高齢者や女性に多く見られます。
  • 外傷:交通事故や転倒などで腰部に強い圧力がかかると、圧迫骨折が発生することがあります。若年者でも強い外力を受けると発生する可能性があります。

治療法

保存療法

軽度の圧迫骨折の場合、保存療法が一般的に行われます。
  • 安静:急性期は、痛みが軽減するまで安静にします。
  • 装具の使用:コルセットや背骨をサポートするブレースを装着し、骨が安定するまでサポートします。
  • 薬物療法:痛みを抑えるために、鎮痛薬や筋弛緩薬を処方します。
  • 理学療法:痛みが落ち着いてきたら、腰部の筋力を強化するためのリハビリや運動療法が行われます。

手術療法

重度の場合や痛みが長引く場合、手術が選択されることがあります。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症、腰椎の脊柱管(神経が通る管)が狭くなり、神経を圧迫する状態です。主に高齢者に多く見られ、加齢による変化で脊柱管が狭くなることが原因です。これにより、腰や足に痛みやしびれが生じます。

症状

  • 腰痛:腰に鈍い痛みを感じることがあります。
  • 下肢のしびれや痛み:特に歩行中や立っているときに、足のしびれや痛みが強くなります(間欠性跛行)。
  • 脚の脱力感:神経の圧迫が進むと、脚の力が入りにくくなり、長距離を歩くことが難しくなります。

原因

  • 加齢:年齢を重ねることで、椎間板や脊椎の靭帯、骨が変性し、脊柱管が狭くなります。
  • 椎間板の変性:椎間板が薄くなり、脊柱の安定性が低下して、脊柱管が狭くなる原因となります。
  • 骨の変形:脊椎の周りに骨が新しく形成され、神経を圧迫します。
  • 靭帯の肥厚:脊椎を支える靭帯が厚くなり、脊柱管を圧迫します。
  • 脊椎すべり症:脊椎がずれることで脊柱管が狭くなり、神経を圧迫します。

治療法

保存療法

  • 薬物治療:痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や筋弛緩薬や血流を増やす薬などを処方します。
  • 注射療法:痛みが強い場合や神経圧迫がある場合には、筋肉のコリや炎症を抑えるトリガーポイント注射や神経ブロック注射を行います。
  • 理学療法:腰を支える筋肉を強化する運動や、腰のストレッチを行います。姿勢の改善も重要です。
  • コルセットの使用:腰の安定性を高め、痛みを軽減するために腰部をサポートするコルセットを使用します。

手術療法

保存療法で効果が見られず、神経圧迫が重度で日常生活に支障が出る場合は、手術が検討されます。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の間にある椎間板が、何らかの原因で外に飛び出し、近くの神経を圧迫する状態を指します。これにより、腰痛や足のしびれ、筋力の低下などの症状が現れます。

症状

  • 腰痛:腰に鈍い痛みを感じることがあります。
  • 下肢のしびれや痛み:特に歩行中や立っているときに、足のしびれや痛みが強くなります(間欠性跛行)。
  • 脚の脱力感:神経の圧迫が進むと、脚の力が入りにくくなり、長距離を歩くことが難しくなります。

原因

  • 加齢:年齢を重ねることで、椎間板が弾力を失い、硬くなるため、負荷がかかると繊維輪が破れやすくなります。特に30代以降は椎間板の水分が減少し、脆くなる傾向があります。
  • 過度の負担:重い物を持ち上げたり、腰に負担をかける動作を繰り返すことで椎間板に圧力がかかり、ヘルニアが発生します。
  • 喫煙:喫煙は椎間板の血流を悪化させ、椎間板の劣化を早める一因とされています。

治療法

保存療法

  • 薬物治療:痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や筋弛緩薬や血流を増やす薬などを処方します。
  • 注射療法:痛みが強い場合や神経圧迫がある場合には、筋肉のコリや炎症を抑えるトリガーポイント注射や神経ブロック注射を行います。
  • 理学療法:腰を支える筋肉を強化する運動や、腰のストレッチを行います。姿勢の改善も重要です。
  • コルセットの使用:腰の安定性を高め、痛みを軽減するために腰部をサポートするコルセットを使用します。

手術療法

保存療法で効果が見られず、神経圧迫が重度で日常生活に支障が出る場合は、手術が検討されます。

腰椎分離症

腰椎分離症は、腰椎の一部が疲労によって骨折し、椎骨の一部が分離した状態を指します。特に、スポーツをする若年層に多く見られる疾患です。適切な治療で多くの患者さんは痛みが軽減し、スポーツ復帰も可能です。ただし、早期の診断と治療が重要で、放置すると腰椎すべり症へ進行するリスクもあります。

症状

  • 腰痛:特に運動中や運動後に感じる腰痛が主な症状です。
  • 痛みの増強:スポーツ活動や腰の反らし動作で痛みが強くなります。
  • 鈍痛や違和感:腰に鈍い痛みや違和感を感じることが多いです。

原因

腰椎分離症は、激しいスポーツや動作によって、腰椎に繰り返し負荷がかかることで発生します。特に腰を反らす動作(バレーボール、野球、体操など)を頻繁に行うと、疲労骨折が起きやすくなります。

治療法

保存療法

  • 安静:運動を制限して腰への負担を軽減します。特にスポーツ活動を一時的に中止します。
  • 薬物治療:痛みを抑えるために、鎮痛薬や筋弛緩薬を処方します。
  • コルセットの使用:腰を安定させるためにコルセットを使用し、治癒を促進します。
  • 理学療法:筋力トレーニングやストレッチで腰の周りの筋肉を強化し、再発を防ぎます。

手術療法

保存療法で痛みが改善しない場合や、椎骨がずれた場合には手術が検討されます。