骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨が弱くなって骨折しやすい状態です。
例えば、軽い怪我や転倒などで手首や足の付け根の骨折をしたり、物を持ち上げたり、場合によっては特に原因がはっきりしなくても腰の骨が骨折することがあります。
その場合、手術を必要としたり、長期間の安静による筋力の低下、また合併症を引き起こしたりと著しく生活の質を落とすという悪循環を招くこととなります。
現在日本人の平均寿命は伸びていますが、実際の健康寿命との差は約10年(平成25年)と言われており、その大きな原因の一つに骨折が挙げられます。
特に女性の場合、女性ホルモンの低下が影響して50歳代から急激に骨密度が下がっていくことがあります。
骨粗しょう症は特に痛みなどの自覚症状がないため、気がつかないうちに骨が弱くなっている可能性があります。そのため定期的な検査による早期の発見、治療が大切になります。

骨粗しょう症チェック

骨粗しょう症は、自覚症状がほとんどありません。ご自分でできるチェックリストで、当てはまる方は早めの検査をおすすめします。
  • 50歳前後の女性
  • 閉経を迎えた方
  • 家族で骨粗しょう症と診断された方がいる
  • 家族で大腿骨などを骨折した方がいる
  • 運動不足
  • タバコ、お酒、カフェインをよく摂る方
  • 関節リウマチの治療中の方
  • 急なダイエットをしたことがある方

骨粗しょう症の検査

当院はDEXA法という、最新のガイドラインで最も推奨されている専門の測定器で骨密度を測定しております。
骨密度の低下を認めた場合は血液検査を行い、骨密度と血液検査の結果を総合的に判断しお一人お一人に合った治療法を選択します。
治療方法としては「薬物療法」を中心に、「運動療法」や「食事療法」も併用して治療を進めていきます。
骨粗しょう症の検査

骨粗しょう症の治療

薬物療法

骨粗しょう症の治療には様々な種類の内服薬や注射製剤があります。当院では骨密度の数値や血液検査の結果、骨折の既往、年齢等を考慮して患者さん一人一人に合わせた治療を行っております。
内服薬ひとつとっても、服用の頻度が毎日のものから週に一度や月に一度など様々です。
患者さんのライフスタイルや希望をお聞きし、できるだけ負担なく続けられるよう配慮しながら選んでおります。 また、最近では従来の薬と比較して、より骨密度を上昇させる注射製剤も出てきております。今後も新しい薬剤は出てくるかと思いますので、常により良い治療を患者さんにいち早く提供できるよう努めてまいります。

食事療法

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂りましょう。適切にエネルギーを摂取し、栄養のバランスがよい食事を規則的に摂るのが、食事療法の基本です。
食事療法

カルシウム

カルシウムは骨の重要な構成栄養素であり、骨粗鬆症の予防、治療に不可欠な栄養素です。骨粗鬆症の方は700〜800mg程度の摂取が進められてます。
【カルシウムの多い食品(mg)】
食品 概量 カルシウム
普通牛乳 200ml 220
ヨーグルト 100g 120
プロセスシーズ 20g 126
ワカサギ 80g 360
シシャモ 50g 165
小松菜 80g 136
木綿豆腐 75g 70

ビタミンD

ビタミンDは腸でのカルシウムの吸収を高め、カルシウムを効率よく取り込むために重要です。ビタミンDの必要な量の目安は1日10〜20μgです。また、ビタミンDは、紫外線を浴びることにより、皮膚でも合成される栄養素です。手足だけでも1日10〜15分、日光浴をすると良いです。
【ビタミンDの多い食品(μg)】
食品 概量 ビタミンD
80g 25.6
イワシ丸干し 30g 15.0
サンマ 100g 14.9
ブリ 80g 6.4
シラス干し 10g 6.1
マイタケ(生) 100g 4.9
シイタケ(乾) 6g 0.8

ビタミンK

ビタミンKはカルシウムを骨に沈着させる働きがあります。1日に250〜300μgが必要な目安です。ただし、血液凝固阻止剤のワルファリンを服用している場合にはビタミンKの摂取には注意が必要です。
【ビタミンKの多い食品(μg)】
食品 概量 ビタミンK
糸引き納豆 40g 240
小松菜 80g 168
ほうれん草 60g 162
モロヘイヤ 60g 384
春菊 50g 125
鶏肉(もも) 120g 35
抹茶 2g 58

運動療法

骨密度維持・上昇には荷重や筋力が重要であり、適切な運動は大腿骨や腰椎の骨密度上昇に有用であることを示唆する報告は多数あります。また、背筋や臀部の筋肉、下肢の筋肉を鍛えることで運動機能を高めて転倒を予防することも骨折予防に重要です。
運動療法